【分析】卒FIT買取価格 JEPX電力取引市場

太陽光発電 資産

太陽光や今後の(家庭の)電気代に関して、このような疑問をお持ちの方はいますか?

  • 原発が止まって以来、日本の電気代は高いのでは?
  • 太陽光発電(再エネ賦課金)のせいで、家庭の電気代は高いのでは?
  • 卒FIT後の売電単価はいくらになるか?(本当に8円か?)

水を絶たれても、電気を絶たれると現代人は生きていけません。

その電気に対して、今後の電力単価の予想を書いていきます。

本日の記事

  1. 今後の売電単価(市場価格)はどうなるか?
  2. 変化の原因
  3. 太陽光事業者はどうすべきか?

この記事を書いている私は、

今年の3年前から不動産投資をしており、今年新たに太陽光も始めました。

不動産と比べると、太陽光には売価下落のリスクがあります。私が太陽光発電に踏み切る前に読んだ本『太陽光発電で、誰でも資産家になれる! 一生困らないお金の増やし方』の中では、将来価格は8円くらいで、収益大丈夫となっています。これを検証してみたいと思います。

事業者の方は、卒FIT後の収益予測として、参考にしてください。

消費者の方は、国策で電気代が下がるのか、楽しみにしてください。

1.今後の売電単価(市場価格)はどうなるか?

✓今後の売電単価は

ズバリ、想定以上に下がると思います。8円を下回り、5円代になるかもしれません。加えて、売価ゼロ円時間も増えそうです(涙)

それでも、太陽光には、太陽光の出口戦略があるので、後日別記事にします。

✓電力取引市場とは

日本にはJEPXという電力取引市場があります。ここでは、原発や太陽光を含め、余剰電力の取引がされています。売電単価は、この取引所での需要と供給で決まり、その約定量と単価は30分毎にリアルタイムで確認できます。電力にも為替市場があると理解ください。

✓分析方法

2010年~2020年の売電単価の推移をまとめてみました。売電単価はJEPXのHP上に、2005年以降の地域別の取引内容が30分ことに記録されています。

1日48回の取引*365日*11年=19万行くらいの膨大なデータからの分析です。この11年を振り返ると、原発の廃止と復活、太陽発電の普及、電力自由化、コロナによる商業地利用の激減と大きな変化がありました。このへんの変化点を抑えながら、今後の市場予測をしていきたいです。

✓電力単価は減少傾向

結論、減少傾向です。

✓原発フル稼働時よりも安い

原発フルストップとなった2012年前後は、電力は高くなりましたが、今となっては原発フル稼働時よりも安いです。国策は成功しているようです。逆に、売電業者の未来は厳しくなります。2010年(東北大震災前)までは原発がフル稼働でした。2012年には原発がフルストップとなり、太陽光発電が増加しました。今は原発も使いつつ、最良のエネルギーミックスという感じで、最安値更新中です。

✓驚愕の売価0円時間の増加

コロナで商業地や工場の非稼働時間が増えたのが原因だと思います。

リモートワークの推進により、社会全体での消費電力は元に戻ることはないでしょう。

需要に対して供給が多い状態です。

<単価ゼロ時間の合計>

時間 年度
2019 2020
4 0 30.5
5 0 58.5
6 0 14
7 0 4
9 0 0.5
10 0 4.5
2 5 0
3 6 0
総計 11 112

✓恐怖のマイナス単価の可能性

環境対策の先進国ヨーロッパでは、売価マイナスの時間もあるようです。

電力を買うと、もれなくお金が付いてくる状態です。JEPXでは最低価格ゼロ円のルールがあるため、マイナスリスクはないですが、市場の発達にあわせて、発電しすぎると支払いが生じる日が訪れるかもしれません。(コロナショックでの原油市場のマイナス価格は大ニュースでしたね)

✓マイナス電力時の対策

そんな場合は、蓄電池と合わせて、安い時間に買い、高い時間に売るという商売が成り立つようになります。

未来の話をしているようですが、実は既にそうなっています。

大手電力メーカーは、売電単価の安い夜間電力を使って、ダムのくみ上げをしています。ダム=電池です。原発で余った夜間電力は、夜のうちにダムという電池に充電され、日中の売電単価の高い時間帯に売られています。これと同じことが、家庭の電気自動車と組み合わせて可能になるかもしれません。

 

2.変化の原因

✓取引量の増加

取引量の増加は特徴的です。単価が下がる理由は、過剰電力が取引市場で売買されるようになったからです。

✓電力自由化の影響

2016年4月に電力自由化になり、ソフトバンクなど、誰でも電気の売り買いをできるようになりました。取引量の増加は、この電力自由化を発端として起こりました。

✓電力市場のアービトラージ

では、なぜ多くの業者が一斉に新規参入したのでしょうか?

答えは、アービトラージです。2013年から2017年11月までの購入量と販売量を比べると、常に供給不足という状況でした。つまり、電力市場での取引権利さえ持っていれば、「安く買って、高く売る」ということが可能で、利益率200%前後の権利収入があったわけです。在庫を抱えるような話ではないので、いい商売だったと思います。ソフトバンクとかが頻繁に電力乗換えを促していた理由はこれですね。

3.太陽光事業者はどうすべきか?

✓売価下落でも問題ない

売価下落でも、結論問題ありません。

理由は、返済さえ終えれば、費用がほとんどかからないからです。

ほとんど、、、というのは、少しはかかるという意味です。

想定される費用は、

  • 固定資産税 路線価次第だが、多くの場合山間部の激安地帯
  • 償却資産税 誤解が多いですが、取得価格の5%に対して、1.4%はかかります
  • 保険    収益状況に応じて、やめてもOK

逆に、消費増税で売電単価の増加もあるので、よくなる話もあります。

ただ、太陽光の最大のうまみは「1円簿価が生む利益」です。

詳しくは「出口戦略」として別記事にします。

✓とはいえ、対策もある

スマート農業は、対策になりえます。どうも、「さかき」は売れ筋のようです。神棚においてあるやつですね。神社の神主が手に持っているあれです。お墓にお参りに使うあの草です。どうも日本に出回っている「さかき」は90%以上、中国産らしいです。日本の神様にお供えするものは、日本製がいい!ということで、高値でもOKみたいです。太陽光の収益改善に、あえて手をかけるとしたら、「さかき」の神通力はブームのようです。