テスラ車が車体設計で世界一安全といわれる所以 3選

テスラ車が欲しくて仕方ないので、過去記事の深堀りです。

  • 自動車のトレンドはスピードよりも安全性
  • 安全性で信用をなくすと最悪リコールで倒産する時代(タカタとか)
  • 過去トラの積上げ(=改善)こそ自動車会社の信用

さて、社歴の浅いテスラにとって、「安全性の信頼」はどう評価されているのでしょうか?その答えは、歴史ではなく、技術です。

本日の記事

  1. GIGA PRESSによる車体2部品+1の構成
  2. 構造物としての電池
  3. モノコック製法と低重心

この記事からわかること

テスラの車体がなぜ安全なのかがわかります。

テスラの良さを「デジタル面」で語る情報誌は多いですが、ここではあえて「機械的側面」に注力して説明します。この安全性能は他のメーカーではどこもまねできません。無類のダントツです。もしテスラがこの安全性能を武器に他社のネガティブキャンペーンを始めたら、倒産する会社はいくつかあるでしょう。テスラがしなくても、ファンがしかねないので、要注意です。

この記事を書いているなぎささん は

少し前まで、EXEDYという世界3台クラッチメーカーで働いていました。(関連記事

仕事は主に調達部で、これから紹介するプレスもアルミダイキャストも扱っていました。日々の材料調達だけではなく、工場建設や設備導入にも関わりました。技術職ではないですが、両方の設備を導入段階から見ていた私は自動車業界でも稀な方だと思います。

1.GIGA PRESSによる車体2部品+1の構成

車体設計を、純粋に安全性能優先で考えられ、尚且つ独自開発の材料でそれを達成しているのがテスラの真の強みです。

✔︎従来の車体設計は「いかだ」

従来の車体設計は鉄板と溶接を駆使したい製法です。

一言でいえば「いかだ」です。

70~80近くある部品が車体を構成しており、それが「面」ではなく「点の集合」でくっついています。金属は熱収縮をし、個体差もあるため、溶接箇所が多いほど、一般的に歪むリスクが増えます。ここにエンジンという「震源地」と駆動系の回転運動が加わり、誰がどう見ても危ない構造物となっています。これを安全にしているのは、技術が半分で、もう半分は歴史です。

✔︎テスラの車体設計は「ボート」

テスラは独自のアルミ合金で車体を一体鋳造整形しています。

一言でいえば、「ボート」です。

従来の70~80ある車体部品は2つのみになりで、溶接箇所もその分少ないです。エンジンや駆動系部品がないので、振動や音という弱点がありません。ぶつかったときの衝撃が溶接箇所に止まらないので、車体に分散できます。運転時の遠心力による歪みもありません。従来との比較はこんな感じです。

  • 従来は鉄、テスラはアルミ
  • 従来はプレス+溶接、テスラは鋳造
  • 従来は70~80の部品、テスラは2つ

✔︎製造工程の違い

従来はプレスと溶接で車体設計をしていました。

食品に例えると、餃子の皮で70~80個の部品を作り、それを水でくっつける感じです。

これがテスラではアルミの一体鋳造整形になります。

食品に例えると、ゼリーを型に流し込んで作ります。

鋳造のメリットは以下の通りです。

  • 複雑な形状を1つの部品として整形できる
  • 硬く歪みにくい
  • 廃棄ロスがない

鋳造のデメリット(プレスのメリット)は以下の通りです。

  • 製造工程を分担することで、個々の部品の投資、コスト、品質、スピードを改善できない
  • しなやかさがないので、割れに弱い
  • 金型寿命が短く、品質(バリ)のばらつきが生じやすい
  • 「巣不良」と言われる検査困難な不良がつきまとう
  • 「湯流れ」という溶けた金属の流体力学を扱うので、金型設計が難しい
  • 24時間稼働を前提とし、一度設備を止めると再稼働が大変
  • 一般的に最も嫌われる製造工程 熱い・汚い・危ない

✔︎自社開発の専用材料の強み

テスラの強みは自社開発のアルミ合金技術です。

鋳造は、鉄と同じくらい長い歴史がありますが、一般的には多くの技術的な課題があります。

まず、溶かした金属を扱うので危険です。そして、その金属が固まる前に、金型の隅々まで均等に行き渡らせる必要(「湯流れ」)があります。「鉄は熱いうちに打て」とはこのことです。

ただし、熱いと冷える時に、熱収縮が大きく、金型への負担が増し、冷える速度の違いで金属内に無数の穴(「巣不良」)がおきます。型からとった後は、必ずバリが残るのも課題です。

また、アルミダイキャスト単体だと車体向けには強度不足です。通常、熱処理といわれる追加工程が必要なのですが、これをすると、大きな部品ほど歪みます。冒頭の動画で、イーロンマスクはこれを「ポテトチップス」と例えています。

こういった多くの課題を自社開発の合金で克服するというのは、テスラの底力です。

✔︎安全性能以外の性能影響

車体を一体整形する強みは安全性能以外でもパワーを発揮します。詳しくは別の記事にしますが、ざっとこんな感じです。

  • 剛性UPにより、運転性能の向上
  • 自動化しやすい
  • スクラップゼロのため、エコ
  • 自然に優しい工場なので、付近には自然種の馬が生息している

2.構造物としての電池

通常電池は電気を貯めることを目的にしていますが、テスラでは車体設計にも電池を使用しています。

✔︎電池に求めた2つ目の目的

電池は、上述したアルミダイキャストの部品2個と組み合わさり、「車体」になります。

従来の車であれば、燃料タンクは車体ではありません。タンクです。ここに車の強度や、車体設計は折り込まれません。通常考えられるのは、エンジンを車の前後どちらに置くかです。その上で、エンジンの横にはバッテリーが来るので、そこから最も離れた場所に燃料タンクがおかれます。この配置関係はガソリン(=危険物)を扱うからの仕方なさであり、決して車体の安全設計を優先してのことではありません。

✔︎実は飛行機では実用化されていた技術

車では実例が乏しいですが、飛行機では実は既に実用化されている技術です。

飛行機の燃料タンクは主翼の中に仕込まれており、タンク単体としてではなく、主翼の強度設計と一体化しています。必然的に、無駄な空間がなくなり、積める燃料が増えます。振動は減り、機体は安定します。

同じように、テスラでも電池を車体設計の一部に組込むことで、安定性や電池の積載率UPにつながっています。

✔︎個体(電池)ゆえの飛行機以上の車体性能

さらに、テスラの場合、電池は個体なので、その効果はもっと発揮されます。

重量と重心のバラ付きはなくなり、燃料の揺れもありません。

3.モノコック製法と低重心

揺るがない重心物が車体の底にあるのは安心感の源です。

✔︎車体設計のど真ん中に「重心」がある(従来はエンジン)

従来はエンジンを車の前後どちらに置くかで、その他全ての部品の配置が決まっていました。

車体全体としての重心は結果論であり、スタート地点ではありません。乗車空間や衝突性能など、重心意外に優先されるものが多々ありました。その結果、全てが不完全です。

テスラの場合、車体設計のスタート地点に重心があります。

重心とは、指一本でその物体を支えることができる「点」を意味します。

安全性能や運転性能、その他多くのことを考える上で、枝葉のことを気にするよりも、この「点」にどれだけ重きを置けるかで、その後の全てが変わります。

✔︎相撲大会(正面衝突)をすればNo1確実

相撲は重心が低く、重い方がかつゲームです。

従来の車両は重心≒エンジンであり、タイヤより上にあります。しかも前か後ろという極端な位置です。テスラの場合、車体の底 中心部に1t以上も電池が敷き詰められています。

テスラとテスラ以外が相撲大会(正面衝突)をしたら、必ずテスラが勝ちます。

✔︎レスリング(横転対応)をすれば転ばない

レスリングは重心の低さと機敏さ、そして横転しても立ち上がる力で勝敗が決まります。

横転実験をしても横転しない、、、、というのがテスラの車体です。

どうしても横転させようものなら、ボートのごとく、すぐにもとに戻ります。四方八方から従来車両がぶつかってきても、最後まで立ち続けるレスラーはテスラだけです。

テスラかテスラ以外か。

自動運転が普及すれば、信号はなくなり、時速100Kmの車が数センチ間隔で交差点ですれ違うようになります。この過程には多くの説明と慣れが求められますが、まずは安全ありきです。

テスラかテスラ以外か。

まるでホストのローランドのようなセリフですが、車体を安全性能優先で設計できない車メーカーは怖いです。今はよくても、いつかネガティブキャンペーンに潰されます。競合のCMではありません。ファンの質と数です。本質は自分で調べて、自分で動く人達の中にあります。

この記事を読んでくれた人は、私と一緒にテスララブを続けましょう。

テスラ車が欲しい~~~

前回に引き続き、8/14にまたモデル3を1日カーシェアをします。