テスラ#2 インド バンガロールに会社設立 トヨタとテスラがバトル街 負けの始まりか?

仕事 資産

このニュースに気づいている人はいますか?

  • テスラがインドに会社設立
  • 場所はITで有名なバンガロール
  • バンガロールといえば、インドで売れ悩むトヨタの拠点

こんなことが頭によぎります。

本日の記事

  1. テスラがインド バンガロールに会社設立
  2. 日本勢の先行きが思いやられる理由
  3. 自動車部品会社で働く私の思い

この記事から得られるもの

自動車関連企業で働く人の、先々の不安がわかります。

インドは人口が11億人もいる世界第2位の巨大市場です。車両販売台数の85%以上が、2輪者か3輪者。果たして、このマーケットが今から4輪市場にシフトするのか?もしそうなら、従来通りMTからAT、PHVを経てEVという順序なのか。自動車大国である日本、その業界で働くサラリーマンには、とても気になるニュースです。

この記事を書いている私は

自動車部品会社で働く平凡なサラリーマンです。前職では、5年間バンガロールで働いていました。会社の設立登記から工場用地の買収、工場建設、量産開始と、ひととおりの「会社の誕生物語」を現地で追いかけてきました。このニュースに出てくるROC(インドの法務局)には、今のテスラと同じく、法人登記でお世話になりました。トヨタさんと商売はありませんでしたが、そこからの転職者には採用でお世話になりました。アイシンさんとは、ご近所さんで、プロジェクトの進捗でよく「肩くらべ」をしていました。

1.テスラがインド バンガロールに会社設立

✔︎ニュース記事TIMES OF INDIA

情報源はTIMES OF INDIAといわれるインドの有力紙です。この記事によると、テスラがインドバンガロールに会社を設立したというニュースが書かれています。簡単に概要をまとめると次のようになります。資本金がやたらと少ないので、必要な手続き(会社設立の取締役会決議とか?)が終わったら、増資するのでしょう。持ち株比率は分かりませんが、アメリカのテスラ本社が独資だと思います。(中国でもそれを押し通すくらいなので)

  • テスラがインド バンガロールに会社設立
  • 社名はTesla India Moters and Energy Pvt. Ltd.
  • 設立年月日は2021年1月8日
  • 資本金は150万ルピー(210万円くらい)
  • 2021年にはインドで車両販売予定
  • インド法人の業態(製造?輸入代行?設計サポート?)は不明

✔︎インスタ情報

テスラはCMをしないことで有名です。宣伝方法はネットのみで、主にファンや会社のインスタが発信元です。余談ですが、1,000万円以上する車でも、ネットで買う時代です。逆に、路面店舗で、人を介すことに意味があるの?という時代かもしれません。トヨタは全世界に、新車や中古車のディーラー網を抱ええており、テレビCMもしています。この維持費が付加価値でなく、束縛になっているのです。ちなみに、私はテスラのインド法人設立をこのインスタで知りました。

✔︎Twitterの投稿

これはおまけの情報ですが、インドのモディ首相とテスラのイーロンマスクCEOは2015年に会っているみたいです。トランプ大統領のTwitterが凍結された今、モディ首相は世界一のフォロワー保有者です。世界を「民主主義の原則」で見たとき、モディ首相の方が世界のリーダーかもしれません。そしてイーロンマスクCEO。あれよあれよと、ランクを上げ、今では世界第2位の資産家です。このツイートは、インドとテスラのファンである私にとっては、神ツイートです。

2.日本勢の先行きが思いやられる理由

インドが先か、アメリカが先か。どちらにしても、日本勢が自動車市場でテスラに地位を奪われたら、結果として日本の本社が倒れます。その意味で、インドでは同じ街にトヨタとテスラが同立するので、ミッドウェー海戦のような「敗北の入り口」になるかもしれません。

✔︎インドはレッドオーシャン

インドの成長ストーリーを聞くと、誰しも今後の成長に疑いを持ちません。ただ、既にインドはレッドオーシャンです。

世界中のカーメーカーが既に工場を構えています。インド地場の自動車メーカーもいます。そして、人口の多くは2輪車か3輪車に乗っており、これら相手に「自動車」は価格競争を強いられています。日本やアメリカとは「足の本数」と「競合相手の数」、あと赤字の覚悟が違います。TATAが20万円大の新車発表をして10年以上経ちますが、価格意識は厳しい世界です。未来ではなく、今の話として、黒字余裕♪の話は聞いたことがありません。

✔︎インドは進化をスキップする

インドで、日本と同じような自動車の進化(MT→AT→PHV→EV)があるとは思えません。そうなると、過去の技術でうまくいっていたとしても、未来がありません。インドではかなり前から電気自動車があります。

EVの話をするとインドはスゴイです。私が赴任した2011年の時点で、既にショッピングモールにはEV用の駐車場がありました。マヒンドラは国産のEV車を既に作っていました。インドは国産で核爆弾とロケットを造れる国です。EVなんて、簡単に造れると思いますし、造っています。

EVの良さは、インドの停電対策にも寄与することです。多くの家には、UPSというバッテリーがあり、家によっては自家発電も持っています。電力自立や蓄電は、当たり前のことです。それを車とセットでできるなら、ATやPHVの入り込む隙間はないと思います。テスラはこの両方に長けた会社で、トヨタは両方にダメな会社です。

✔︎そもそも自動車って、持つものなの?

多くの車には、4つ以上の座席がありますが、フル活用することはまずありません。多くても、1時間/日*1/シート。つまり、キャパの1/96も使えていないことになります。シェアリングエコノミーが発達すると、使用時間もシート数も社会全体で合理化されます。ここに自動運転が将来的に加わると、常に町中を無料タクシーが入っているようなことになりえます。

先の話に聞こえますが、Uberタクシーを禁止しているのは日本くらいです。多くの国ではシェアライドは当たり前で、特にインドでは流行っています。車は持つものから、共有するものになりつつあります。

✔︎インド事業の失敗は「小会社価値の減損」でダメージ大

せっかくインド法人を造っても、車が売れなければ会社の価値は減少します。具体的には、小会社の株価が下がります。会計では減損という処理になります。小会社が減損すると、その分、親会社も減損し、株価が下がります。

このもっとも典型的な例が東芝の東証2部降格です。小会社のウェスティングハウスというアメリカの原発メーカーが減損し、それにつられて本社も減損しました。減損幅が大きすぎて、債務超過のリスクもありました。そんなこんなで、2部降格です。

インド事業に、車が売れる前提で投資をしている会社は多いです。この戦場でテスラに負けることで、結果として、親会社の減損とか起こりえそうです。

3.自動車部品会社で働く私の思い

✔︎テスラショックの方がコロナよりデカい

日本では自動車関連で働くサラリーマンがメチャクチャ多いです。私もその1人です。

トヨタは鉄鋼メーカーに対して、価格交渉権を持ちます。トヨタの業績や自動車業界の浮沈は、鉄に引きずられて、日本全体に響きます。

アメリカか、インドか。いずれにしても、日本勢がテスラに市場を奪われたとき、日本にはコロナよりデカいショックがくると思います。一生同じ会社でサラリーマンをしたいけど、そうは時代が許さないでしょう。

✔︎給与所得以外を持て

よく引用する過去記事ですが、就職活動の延長として、誰しも「一流企業のマネ」をすべきと思います。給与収入と住宅ローンをバランスして、手残りで生きるような人生では、マズいです。自分にも、信用にも、お金にも、働いてもらわないと生きていけません。

スキマ時間の蓄積は人生を変えます。昔は秘書や部下を私生活でも抱える人にしか、スキマ時間はありませんでした。正当な副業は、天下りの社外取締役にしかできませんでした。でも、今では、誰でもスマホで、スキマ時間と副業チャンスを持っています。これが「一流企業のマネ」ができる時代の違いです。