なぎささん インドの新工場立上げに出向? 場所は古巣の南インド#4 初めてのインド出向を思い出す
昨日の続きです。女々しい話ですが、過ぎ去ったチャンスの余韻に浸ることってないですか?
- もしそのチャンスを手にしていたら?
- もしそのチャンスを過去に味わっていたら。。。
- 過去は過去。今は今。そうとは知りつつも…
「人生もしかしたら」を思ってしまうことはありませんか?決断の前後は特にこんな感情がとりつかれつなぎささんです。
本日の記事
- 初めてのインド出向 あれはサラリーマンにあらず
- ヤバい思い出 あれは社会的にアウト!
- いい思い出 これがあってこその今
この記事からわかること
平凡なサラリーマンに、ある日突然、急激な変化が訪れるとどうなるかがわかります。
男は、死か海外赴任を言い渡されたときに、結婚願望が爆発するといわれています。わかります。私のことです。それがどんなに大きな変化か。その結果、どんな毒をなめ、どんな甘さを吸うことになるか。人生は決断の連続ですが、平凡なサラリーマンにとって、海外駐在がどれほど大きな変化か、その重さを説明します。
この記事を書いているなぎささんは
前職で5年間、南インドのバンガロールに駐在勤務しました。
転職したのにもかかわらず、今の会社でまたもインド出向の話が湧き上がったので、1人ではしゃいでいました。(過去記事)ついつい、前職のインド出向を思い出してしまいます。3記事分(#1、#2、#3)のつもりでしたが、延長戦でお付き合いください。ちなみに、前の会社を社名検索すると、関係者は爆笑(苦笑?)すると思います。
ヤバい!チョー苦笑!
前職の会社名をググったら、2番目のキーワードが「パワハラ」だった!
決算短信を前に、世界三強のクラッチメーカーなのに、一時期JPX400銘柄だったのに、
なぜこのワードで、この順位?いい会社ですけど、正しいかもです💦 pic.twitter.com/6e4uFP76En
— なぎささん 太陽光と不動産で夫婦3馬力を狙う (@nagisasan1234) April 9, 2021
1.初めてのインド出向 あれはサラリーマンにあらず
私は平凡なサラリーマンですが、入社前から目立ちまくっていました。理由は別記事にします。そのせいもあって、入社3ヶ月目の新卒でいきなりインド出向の辞令を拝命しました。
✔︎まず、上層部で何が起きていたか
- ホンダが南インドにグループ最大規模の2輪工場を作ることが決まった
- 本来ならば、小会社の###社が全注予定
- だが、あえて競争原理を意識してライバル会社のうちに仕事がきた
- 当然うちとしてもグループ最大規模の工場となる
- この領域では後発参入のために、会社はとにかくスピードに命を注ぐ
ここまでが、経営者しか知らない当時の状況です。
社長としては、世界最大の2輪メーカーに、その小会社以上に可愛がってもらった話です。しかも、世界最大の2R市場のインドです。社長はおそらく鼻血を出したことでしょう。
✔︎2万人規模の会社なのに、新入社員が直で社長指示を受ける
そんなときに、社長の目に止まったのは、阪大卒で、ヒンディー語が話せる私です。入社前から「学生バイト」として、インドに出向されるなど(???)、今思えば、「仕込み」が天才的でした。
小さな会社ではありません。一時はJPX日経400に採用されるほどの、超優良企業です。2万人もいる社員の中から、社長は私に名指しで業務指示を出しました。
✔︎指示の内容
”今すぐインドに行け” →インドのどこ?
”大きな仕事が決まったから、会社を作って、土地を買え”→???
”グループ最大規模の工場を、市場最速で作る”→???????
なぎささん 「誰と行くんですか?」
”当分はひとりだ!!!”
なぎささん 「どこに行くんですか?」
”それも含めて、自分で決めることになる”
??????
✔︎なぎささんは上司に何をすべきか相談
上司は何も知らされておらず(トップシークレットなので)。
次の瞬間、インド小会社の社長からいきなり電話が来て「現金をいっぱい持っておくよう」いわれました。必要ならば、会社貸付も???
ここで覚悟したのは、もう日本に帰れないということでした。
この会社はまじでヤバい。。。そして、私の株は実力以上のところで急上昇しているのを感じました。チャンスにとびつけ。だって失うものは何もない(新入社員だし~~~)
✔︎その結果、何が起きたか
書けば長いですが、今、その会社名をグーグル検索すると、当時私がインドの州政府役人と線を引いた作った地図が現実のものとして出てきます。当時は1人目の社員でした。今では1200人以上が生活を託す巨大組織です。もちろん多くの人のサポートが前提ですし、私は無力のまま終えました。
ただ、20代前半で、こんな大きな変化の渦に飲まれたことは、人生観を変える出来事でした。
✔︎余談ですが、
その時私をインドに名指しで送り出した社長は、今、(結果として)私の後追いで、今の会社に転職してきました。社外取締役と言う立場です。本当に尊敬する人です。業務での関わりはないですが、この運命的な再開に、仕事のモチベーションはUPです。
挨拶に行ったら、「またインドに行きたいのか?」と言われました。ボタンはそこにあるのですが・・・ 思い出だけで、腹いっぱいです。
ちなみに、今書いた話は、社長が退職前にまとめた社史に表現を変えて書かれています。
2.ヤバい思い出 あれは社会的にアウト!
たぶん、書いてはいけないことを書いています。。。時効って、恐ろしいです。
✔︎州政府の役人と地下駐車場で実弾交渉
冗談じゃなくて、私は本当に1人で工場用地3万坪の買収担当していました。新卒3ヶ月目のことです。毎日州政府の役人のところに行っては、進捗フォローと情報とりです。
もちろんまっすぐ進まない話です。アタッシュケーシュに実弾を積んだこともあります。ニュースになるような金額でした。
周りを見れば他社もしてましたが、運の悪さか、スキャンダルで州知事が逮捕されました。それに合わせて芋づる式に役人の逮捕劇がメディア報道され、顔馴染みも「いなく」なりました。そんな最中の実弾交渉です。最初の1人というのは、歴史に残しては行けないものを多々背負います。。。
✔︎上司に嫌われ、給料未払い
これは悪い方の伝説です。上司に嫌われ、給料の未払い扱いを受けました。
理由はともかく、理由がつけばそれが許される世界でした。少額ですが、半年?くらい未払いがありました。
これを受け取ったのは、帰任してからです。上司(=原地TOP)が会計上の問題で、誰かから指摘を受けたのでしょう。物理的に支払い方法がなくなるのに、会社の帳簿に未払いを計上し続けるのは、本社報告に支障をきたします。
お金や待遇に不満はありません。愛社精神があったからこそ、僕も上司もそのような感情と対応になったのです。世間的には裁判沙汰ですが、サラリーマンなのに、サラリーマン扱いを受けない立場は、「20代としては」逆にいい経験でした。
✔︎取引先と裁判になりかける
これは人生で一番焦った日の出来事です。
取引先を突然失注させて、裁判ざたになりかけました。
自動車関連のビジネスは、部品が一つ止まると、完成車両の製造ラインが止まります。この損失は想像以上です。ネジ一つが、数千人の仕事とお金を止めるのです。供給責任は重大です。それゆえの転注でしたが、それゆえの訴えでした。
「裁判になったら、生産が止まって会社が死ぬ。」
この危機感で、なんとか瀬戸際で止めることに成功しました。取引先の社長をファイブスターホテルに呼んで、飯を食いながら、ひたすら、ヒンディー語と英語で自分の「インド愛」を語りました。4時間も外国人に母国語でベタ褒めされると、人は気持ちが変わります。
自分が作った会社ゆえの愛社精神。育ち+学歴+職歴+言語。自分の特性を出し切る真剣勝負。そして、インド人の母国愛。愛情深さで、その場を凌ぎました。あの時の切り返しはサラリーマンでは無理です。自分で作った会社とインド特性があったからできたことです。
3.いい思い出 これがあってこその今
「インドに行きたい」その思いだけで採用されました。そして、即実現しました。しかも、1人目の社員として。
✔︎愛社精神ほどの生きがいはない
平凡なサラリーマンをしている人には伝わらない話です。
当時は東北大震災の直後でした。これを地元民として見ているか、外国人として見ているか。そのくらいの違いがあります。
1人目の社員には、表現しつくせない会社への愛があります。
「いい会社を作ろう」
そのかけ声だけで、インド人も深夜まで残業してくれました。できたての工場にはまだ家具がなく。気づけば、従業員が廃材でDIYをしていました。外から見にきた人は、挨拶の良さとDIYの家具に、感動していました。1人目の私にとっては当たり前のことですが、初期の人は本当にみな、愛社精神に満ちていました。
幸せって、こういうことだと思います。
この先もしインドに出向することがあったとしても、1人目を経験した私にとって、思い出の再来はないと思います。
✔︎愛情深くまっている妻
もう帰れない日本…出向前夜、そう思った瞬間、急にさみしくなりました。
今の妻とはその時からの付き合いです。
「明日からインドに行くから、俺をずっとまっててくれ」
「付き合ってくれ」
「ではいってくる💨💨💨」
たった一晩のことでしたが、その日から妻は5年間も私のことをまってくれました。
モテない女ではありません。ホワイトデーには段ボール3つほど、プレゼントを抱えるような華やかな女性でした。なのに愛情深く、気が長く。
1人目だったインド以上に、2人目がありえない大切さです。
次のインドを思い悩むのは、その待たせた日々があるからです。平凡なサラリーマンを続投します。