益税か免税かインボイス制度に悩む売電事業者の選択

太陽光発電 資産

今年の10月1日よりインボイス制度が始まります。これに伴い今まで消費税の益税効果で潤っていた事業者が適切に消費税を払うようになります。

さてさて、太陽光事業者はどうなるのでしょうか?

本日の記事

  1. 消費税が益税になるカラクリをおさらい
  2. 結論私がとるべきだった行動
  3. 結果として私がとってしまった行動

この記事の想定読者

  • 太陽光発電をしている人
  • 仮想通貨などのマイニング事業をしている人
  • プライベートジェットや船舶のリース業者

この記事を書いているなぎささんは

2020年1月から宮崎と兵庫県で太陽光の売電事業をしています。

投資額は46百万円。
消費税還付金スキームがある反面、売上が10百万円未満なのに、ここ3年間ずっと消費税を払ってきました。(関連記事)

さて、4年目となった今とるべき選択はいかに?

この記事からわかること

インボイス制度の抜け穴があることがわかります。

消費税が益税になるカラクリをおさらい

さて本題に入る前に消費税の益税スキームをおさらいします。

一般的な消費税な説明

消費税は、
売上の10%を未払消費税
仕入の10%を預り消費税
納税額はこの差分
となっています。

例えば、売上と仕入がそれぞれ100円と50円の場合、会計上の仕訳はこうなります。

売掛金100/売上100
預り消費税10/未払消費税10

仕入50/買掛金50
仮払消費税5/現金5

納税額10-5=5/現金5

消費税益税スキームの概要

ただし、この一般的な知識の例外事項として売り上げが1千万円未満の人には納税義務がなく、預り消費税をそのままもらえるというルールがあります。

つまり、太陽光のような原価ゼロの商売の場合、売上も利益もを努力なしで10%増加することができるんです。

私の場合、ざっくり年収360万円の売電収入があるので、これが396万円の手取りに化けるということです。

インボイス制度導入に伴う消費税の構造変化

インボイス制度を実施すると免税事業者からの仕入れに対して仕入税額控除が使えなくなります。

つまり、仕入額の実質的な10%値上げ。

これを避けるために免税事業者の仕入先に本来払わなくてもいい消費税分の支払いを辞める動きが生じます。

結果として購入側は費用の増減なく、販売側は消費分の支払い減額となります(売上は変わらず)

インボイス制度により損をする事例

例えば私のような売電事業者の場合

360万円の売電収入と36万円の預かり消費税後があり、後者の36万円の未払消費税がなくなります。

そもそも納税しない消費税を預かったまま懐に入れていたのが、今後は預かれなくなったというすごく当たり前の改正です。

ただ、自分ごととしていうなれば、正直これ頼りに事業計画を立てていたので、残念です。😢

結論私がとるべきだった行動

消費税の益税スキームとインボイス制度をおさらいしたところで、その抜け道を紹介します。

正解は免税事業者の選択

なんとありがたいことにインボイス制度に登録しなくても、電力会社は今まで通り払ってくれるそうです。

資源エネルギー庁のFIT説明のページでそのように書かれているので間違いありません。

結論として免税事業者のまま、今まで通り消費税を預かり、そのまま懐に入れるというのが今後もできそうです。

免税事業者になるための税務署への手続き

消費税還付を受け取るためには課税事業者選択届出書というのが必要です。

一度これを出してしまうと、売り上げの10百万円あるなしに関わらず、消費税課税事業者選択不適応届出という書類の提出が必要となります。

手続き上の注意点1

消費税の確定申告書すると、売上の10百万円を境に、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」というのがe-tax上で作成されます。

しかし、これとは別の書類が必要なので注意が必要です。

提出する書類は「消費税課税事業者選択不適応届出」です。

もちろんe-tax対応なので、マイナンバーカードとスマホでできるはずです。

手続き上の注意点2

この書類は免税事業者になりたい課税期間の前年度までに提出必要です。

私の場合は個人事業主で、2022年12月31日までにこれを出していなかったので、今年は消費税の納税額必要です。

免税事業者になれるのは最短でも2024年1月以降であり、そのためには2023年12月31日までに提出が必要となります。
後悔…

結果として私がとってしまった行動

私は上記のような免税事業者ではなく、簡易課税連事業者の選択をしました。

結果として簡易課税事業者を選択

消費税には免税事業者と課税事業者があり、
課税事業者には本課税事業者と簡易課税事業者の2つがあります。

免税事業者は上記説明の通り、売上が10百万円未満で納税義務がない人です。

簡易課税事業者は売上が50百万円未満の場合、本人の任意選択によりなることができます。

簡易課税事業者になると、その業種毎に国税庁が指定した原価率を使って、売上から納税額を算出できます。納税額=売上*(1-原価率)*10%と単純なので、「簡易」課税です。

本課税事業者になると、
購入物が課税か非課税か不課税か、
仕入先が課税事業者かどうか、
軽減税率かどうか
会計年度何売れたかどうか
と複雑な管理をすることになります。

簡易課税事業者による節税効果

太陽光の売電事業の場合、実質的な仕入れは0です。

しかし国税庁の定める電気事業者の区分に当てはめると原価率が7割となります。

例えば売上が100万円の場合、70万円が仕入税額控除となり、差引30万円に対して10%の税率が適応されるので、納税額は3万円となります。しかし、未払消費税としては10万円をもらっているので、結論7万円が益税として懐に入ります。

これがインボイス制度に対する最終的な攻略方法であり、簡易課税事業者がベターアンサーとなります。

もちろんベストは免税事業者。

私が正解を選択しそびれた理由

ではなぜ私が昨年末に免税事業者ではなく、簡易課税事業者を選択したのか?

その答えは、その時点では簡易課税事業者がベストアンサーだと思っていたからです。

昨年12月28日に簡易課税事業者の選択届出書を出した後、今年の2月10日に資源エネルギー庁のホームページで免税事業者でも今まで通り預かり消費税を懐に入れることができると発表されました。時系列が逆なら、行動も逆になっていたでしょう。

その後、消費税の確定申告の時に免税事業者に戻る届出書を出しましたが、帳票違いで受理されず、私は課税事業者のままとなっています。

こんなグダグダを昨日税務署とやりあっていたので、自分への備忘録として残しておきます。誰かの参考になれば幸いです

さて、来年こそは免税事業者になるぞ