【確定申告】【マニア】償却資産税の節税方法2選 なぎささん修正申告を検討中❔
太陽光発電といえば、原価があてないようなもの。収支改善のためにできるコストセーブの方法は限られています。
- 1年目の確定申告を終えると、もうできることは絞られてしまう
- 確定申告前の今だからこそできることはないのか?
- 決算書を前に、知識で今からでも何かできないか?
そんな悩みに対して、私の思いついた節税策2選をお伝えします。
本日の記事
- 償却資産税の落とし穴とは
- 節税策#1「連携工事負担金」は償却資産税の課税対象外
- 節税策#2税抜経理方式にすると、償却資産税が安くなる
- 本当にできるのか?
- 結局どうすべきか
この記事から得られるもの
確定申告前だからこそできる節税方法を2つお知らせします。
これから紹介する方法は、市役所の税務課2か所と国税庁HPで確認済です。ただ、あまり聞いたことがない節税方法なので、明日販売会社と税務署にも確認しよと思います。本当にできるかは、その確認ももって、「4.本当にできるか?」を明後日更新します。思い付きの段階ではありますが、お付き合いください。
※マニアの記事です
この記事を書いているなぎささんは
前職、東証一部上場企業の財務部で「固定資産」の担当として有価証券報告書作成に携わっていました。
今はその知識を活かしつつ、太陽光の売電事業で資産形成をしています。(参考記事)前前職ではインドで起業をしており、久しぶりにゼロから事業を始めることにワクワクを感じています。確定申告が始まった今、自分の決算書を眺めながら、策にこうじています。
1.償却資産税の落とし穴とは
簿価と償却資産税。よく誤解されますが、会計上簿価1円であったとしても、取得額*5%*1.4%が捨てるまで永久的に課税されます。
つまり、明細をコネクリ回してでも、合理的に資産価値は下げてなんぼです。— なぎささん 太陽光と不動産で夫婦3馬力を狙う (@nagisasan1234) February 18, 2021
✓太陽光ではほぼ唯一の固定費
太陽光の場合、継続的に発生する「仕入」がないので、原価があってないようなものです。唯一継続的に発生し続けるのが、償却資産税、通称「固定資産税」です。細かな話をすれば、まだまだあります。償却費(or借入元金の返済)+利息+保険+償却資産税+所得税(or法人税)とか。ただ、ここでは、話を簡単にするために、「ほぼ唯一の固定費」として、償却資産税を取り扱います。
✓簿価が1円になっても課税される
よく誤解されていることですが、会計上の簿価が1円でも、償却資産税は発生します。
その理由は会計と税務では、資産価値の評価方法が違うからです。前者では1円まで償却できます。後者では取得価額の5%までしか償却できません。したがって、税金の計算式は次のようになります。
償却資産税=MAX(簿価or取得価額の5%)*税率1.4%
※市区町村によっては税率MAX1.6%
✓捨てたエビデンスがそろうまで永久課税
つまり、一度「固定資産」として税務申告をしてしまうと、捨てたエビデンスを握るまで永久的に課税されます。
本業の話をすると、どこの会社でも「不要資産の廃棄」をするよう言われていると思います。廃棄時には「捨てたエビデンス」が必要。これを求める理由は、捨てることで初めてその資産に対する課税が終わるからです。
前職の伝説では、このエビデンス欲しさに警察署に「盗難届」を出した先輩がいたようです。会社においてあった実験用の日産GTRがある日盗まれ。捨てたエビデンスもなければ、課税される義理もない。そこで仕方なしのエビデンスが「盗難届」だったようです。
✓初回申告がチョー大切
一度税務申告をしてしまうと、後戻りができません。
その理由は、次の2点です。
- 申告時には資産1件ずつの明細が必要
- 申告時には前年からの「増減」を聞かれる
例えば、市区町村をまたぐ引っ越しをした場合、前の市には「減」、今の市には「増」と申告します。そして、捨てるまで、どこかの市区町村が課税し続けます。もし途中でデータだけを消そうものなら「資産隠し」=脱税になります。
✓余談 固定資産担当者のカミングアウト
私程度の初規模事業者ならいいですが、数十年続くメーカーの場合、この資産管理は地獄です。マジで先任者が1人は必要です。(=昔のなぎささん)
償却資産税として申告をすべきかどうかの境は20万円です。これに加えて、毎年の税制改正。これが創業以来積み重なり、担当者変更を加わって、まさに「創業以来秘伝の継ぎ足しソース(◎_◎;)」になっています。会計士がデータと実物の棚卸方法を確認しますが、正直、いい事例を見せて逃げています。100年企業ともなると、もうゴミデータの山だと思います。ヨッ!
2.節税策#1「連携工事負担金」は償却資産税の課税対象外
連系工事負担金は繰延資産であり、償却資産税の課税対象ではないらしいです。(国税庁HP)
つまり、これを除外することで、課税対象額を抑え節税できます。
さぁ、時代に逆行して、償却資産税の「修正申告」です。https://t.co/5jgegfhjTZ— なぎささん 太陽光と不動産で夫婦3馬力を狙う (@nagisasan1234) February 18, 2021
✓連携工事負担金とは
発電所(=太陽光パネル)と送電網(=電柱)をつなぐための工事費用です。
資源エネルギー庁のHPには次のように説明されています。
一般家庭に例えると、インターネットの回線工事代金みたいなものです。住居によっては、購入した時点でこれが付いています。同じように、建売販売の太陽光発電の場合、この「連携工事(負担金)」が含まれていることがあります。ただ、それを知らないと、「設備代金一式」として扱ってしまします。
✓連携工事負担金の目安
けっこうバカにならない金額です。
・九州電力の場合
・関西電力の場合
・なぎささんの場合
販売会社からもらった見積明細の中にはありませんが、ザックリ328万円、税額5万円です。
✓税務上の扱い 国税庁HPより
これによると、連携工事負担金は「償却資産」ではなく、「繰延資産」のようです。
償却年数は15年間。繰延資産になる理由は次のように書かれています。
連系工事負担金は、電力会社の所有物となる電気供給設備の工事費用を甲社が負担するものであり、甲社の所有する太陽光発電設備に対する支出ではないため、これを固定資産の取得価額に含めることはできない
✓繰延資産税に計上すると節税になる理由
つまり、償却資産税の課税対象外であり、請求書の明細をコネクリ回して合理的に繰延資産資産にすれば、節税できます。
✓市役所に確認したところ
まだ修正申告OKとのこと。今動けば、確定申告の決算書で、勘定科目を変更できます。
3.節税策#2税抜経理方式にすると、償却資産税が安くなる
税抜経理だと償却資産税の課税対象額が税別価格となる。つまり、20万円(税込)のPCが費用処理でき申告不要。
問題は課税事業者から免税事業者に転じたとき。市役所に確認したところ、これに伴う遡及は不要なので、入り口次第でこのPCは永久非課税になるようです。https://t.co/ZLY24QyyfU— なぎささん 太陽光と不動産で夫婦3馬力を狙う (@nagisasan1234) February 18, 2021
✓税抜経理方式とは
経理には税抜経理と税込経理の2種類があります。前者は本体と消費税を個別に記帳する方法です。後者は消費税込みの合計金額のみで記帳する方法です。免税事業者(≒課税売上1000万未満)の人には税込経理しか認められません。課税事業者であれば、どちらでも選択できます。細かな処理をすることで、消費税を適正額にしたいかどうかが分かれ目です。
✓売電事業者はなぜ3年目で免税事業者に転ずるのか?
太陽光発電をする人は、消費税還付を求めて課税事業者にある場合がほとんどです。しかし、実際の売上が1000万円あるわけではないので、還付金をもらい次第、免税事業者になろうとします。メリットとしては売電収入に対する消費税を預かる一方、それに納税義務が生じず、自分のものにできるからです。消費増税が益税で収入UPになる。この仕組みに乗りたいのです。(参考記事)
しかし、国もこの仕組みを往行させないために、一度課税事業者になったものは、最低2年間は免税事業者になれないようにしています。これらのことを総合して、1年目は課税事業者として消費税還付を狙い、3年目からは消費増税による売上UPを狙うという仕組みになっています。
✓なぜ償却資産税が安くなるのか?
ここで面白いのは、税抜経理から税込経理に変更したことで、申告明細の中で「増加扱いしなくていい」ことです。(市役所確認済)
具体的には、20万円(税込)のPCを課税事業者且つ、税抜経理のときに買います。消費税を加味するとPCの単価は20万円未満なので、費用処理でき、償却資産税の申告が不要になります。逆に、税込経理をしている場合、PCの単価は20万円(税込)で、申告必要です。(国税庁HP#1)(国税庁HP#2)
そして、3年後に免税事業者になり、強制的に税込経理になったとして、この時に過去にさかのぼって「新しい目線で単価20万円のPC」を税務申告する必要はありません。同じものでも、方や(捨てるまで)永久課税、方や永久非課税です。太陽光など、売上1000万円未満の設備産業の場合、この経理処理の違いは大きいです。
4.本当にできるのか?
気が早いのか、市役所に修正申告の用紙を手配してしまいました。今思えば、販売会社と税務署にも確認必要でした。
✓節税策#1 繰延資産の活用 Q1 私ができる立場なのか
正直、聞いたことがない節税方法です。
おそらく販売会社の方は繰延資産税(短期)として経理処理をしています。それ単体の請求書を持っている人と、合計「一式」の請求書を持っている人では考えることも立場も違います。短期、とした理由は、販売会社からすればこれは「棚卸資産」であり、固定資産ではないからです。もしかしたら、繰延資産でもなく、仕入原価かもしれません。
問題は、私がこれ単体の請求書を持たないことです。この「明細」を持つことで、私も繰延資産として資産計上できるのか?「明細だけで」大丈夫なのか?この変を税務署に確認してみます。
✓節税策#1 繰延資産の活用 Q2 償却資産税の修正申告ができるのか
市役所の見解ではOKです。
償却資産税は「市税」です。国税ではないので、税務署にとやかく言われる筋合いはありません。ただ、償却資産税の申告と償却費は同じ金額の資産をさしていないとおかしいです。市役所に対する修正申告を加味して、確定申告をしていいのか。日程も含め、この辺のことを税務署に確認します。(これはOKのはず)
✓節税策#2 税抜経理 Q1 市役所の認識確認
市役所の見解ではOKです。
結果としての節税になることは認めつつ、そこまでの管理はしていないし、管理不要とのことでした。
5.結局どうすべきか
✓マニアの悩み
修正申告のついでに、資産明細毎の貸与年数の見直しもしては?と思うマニアがいるかもしれません。フェンスやアルミ架台、パネル、パワコン。発電所「一式」で貸与年数17年とも言えますし、それぞれ、10年、8年?17年、8年?と小刻みにすることで、償却期間の圧縮も可能です。
✓赤字か黒字かは経営者次第
事業経営を赤字にしたいか、黒字にしたいか。これは経営者の思い一つです。「自腹」と腹をくくれば、どっちにでも転びます。赤字にして節税したいのか。黒字にしてステータスや事業拡大の融資や信用を得たいのか。人によってそれぞれです。私の場合は、個人事業主(法人ではなく)でやっているので、今後の給与の伸びに合わせて、ゆっくり償却させ、黒字PLを作って、事業拡大を狙いたいです。私が50~60代だったり、高額納税者だったら、償却の圧縮で節税効果を意識したでしょう。投資の目的は人それぞれです。